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最新の脳科学が導き出した最強の数学勉強法とは
記憶のメカニズムに合わせた数学の勉強法を身につければ、これまで数学が全く出来なかった人、数式を見るのも嫌だったと言う人も、必ず数学が出来るようになります。
では早速、最強の数学勉強法をここで公開します。
もし、記憶のメカニズムについて読んでいない人はこちらのページを先に読んで下さい。
数学の勉強方法は、実はとてもシンプルなんです。
この4ステップを確実に行うことで、必ず数学は出来るようになります。
なぜなら、この方法が脳の特性に一番合っているからなんです。
1~3では、主に数式の理解がポイントとなります。
これは、脳の特性の1つ「脳は丸暗記に弱い」という点をカバーするために、数式、公式を丸暗記するのではなくて、それらの意味をよく理解した上で覚える必要があるからです。
そして、4は「脳は、一度で覚えることができない」という特性から、それを補うために何度も同じ問題を解くことで記憶に定着させることが目的です。
数学の勉強法の4ステップについて詳しく説明していく前に、よりこの勉強法を理解してもらうために、数学という学問について少し解説しておきます。
数学はどのように構成されているのか
数学という学問は、公理と言われる証明を必要としないいくつかの事柄だけを前提として理論的に展開されていきます。
この公理といわれるものは、数学をやる人の共通認識みたいなものだと思って下さい。
例えば、「すべての直角は互いに等しい」とか、「2つの点が与えられたとき、その2点を通るような直線を引くことができる」だとかが公理に当たります。
つまりは、常識的な内容だと思ってもらって問題ありません。
そして、この公理を前提として、その後の理論展開が出来るだけシンプルになるように、数学用語や数学記号が決められています。これが定義と呼ばれるものです。
例えば、「点とは、部分を持たないものである」とか、「線とは、幅のない長さである」などが定義にあたります。
前者は、点という言葉を部分を持たないものとして決めていることになりますし、後者では線というものを幅のない長さであると決めている(定義している)ということです。
そして、公理と定義より導かれた(証明可能な)ものを命題といい、命題の中でも特に重要なものを定理といったりします。この定理と呼ばれるものは、高校ではよく公式と呼ばれます。
このように、公理と呼ばれる土台となる事柄から、用語を定義し、そして有用な事柄をひとつひとつ証明していくことで、膨大な知識が作られていきます。
ただ大学になれば、このような数学の構造がはっきりと分かるようになりますが、高校までは、厳密に上のような形で説明されてはいません。
高校の教科書を見ても、どれが公理で、どこが定義であり、どれが定理なのかがはっきりしないと思います。
だから、公理も定義も、そして公式(定理)もすべて暗記してしまえってことになるんだと思います。
しかし、本当に覚えなければいけないことは、定義だけです。
公理はよく考えれば当たり前のことなので、取り立てて覚える必要はありません。
そして、公式(定理)はすべて公理と定義(または既に証明された定理)から証明されるものなので、覚える必要などないのです。
この違いを認識した上でもう一度教科書を読んでみて下さい。
そうすると、本当に覚えておくべきものはとても少ないことが分かります。
数学記号(数式)とは数学語という言語である!
言語と言うと、日本語や英語などの人と人とのコミュニケーションのための言葉だけだと思っている人もいるかもしれません。
しかし、言語の定義を、「コミュニケーションのためのある一定の規則をもつ記号の集まりだ」と考えるならば、コンピュータで使われるプログラムも言語であるし、数式だって、立派な言語だと言えます。
厳密に言うと、日本語などの人と人とのコミュニケーションのために使われる言語を自然言語といい、コンピュータのプログラムや数学記号(数式)などを形式言語、または人工言語と言います。
そして、この形式言語は日本語や英語の文法のように例外というものが一切入らない、つまり文法が厳密に決められた言語になります。
だから、英語を学ぶよりもはるかに簡単なんです。
なぜなら、決められたルール(文法)さえ知っていれば良いのですから。
英語のように例外的な使い方などないのです。
したがって、数学が出来るようになるためには、数学語という言語を正しく学ぶ必要があるということになります。
高校生になると、新しい記号や数式がたくさん出てきます。
対数を表す記号 logや三角比、三角関数を表す記号 sin, cos, tan。そして、Σや∫といったアルファベットでもない見慣れない記号まで出てきます。
これらには、きちんとした意味があり、英語で言うところの単語に当たります。つまり、これらの記号は、英単語の意味を覚えるのと同じように覚えなければいけないと言うことです。
(上の話でいえば、この部分が定義となります。)
しかも、正確にそして確実に覚えておかなければいけません。
ただ英単語と違うところは、ひとつの記号には、必ずひとつの意味しかないと言うところです。
例えば、英単語の「stand」には「立つ」という意味の他に、「~に耐える、我慢する」といった異なった意味があります。
しかし、数学の記号では、少なくとも高校までの範囲ではひとつの記号は、ひとつの意味しか持ちません。
どうですか?
数学なんてそんなに難しいモノではないという気がしてきませんか?
では、より具体的に数学の勉強法、4つのステップを説明していきます。
1.数学記号(数式)の意味を正確に理解し、覚える。
ここは、「数学はどのように構成されているか」で語った定義の部分に当たります。
数学記号のまたは数学用語の定義は、きちんと正確に理解し、覚えておかないとその後の理論展開が間違ってしまいます。
最初のボタンを掛け違えると、全部のボタンが合わなくなるのと同じように、最初の根本を間違えてしまうと、その後どんなに正しく理論展開したところで、間違った結果にしかなりません。
だからこそ、このステップをおろそかにしてはいけません。さらっと流さないできちんと意味を理解することが大切です。
2.数式のルールを理解し、その使い方をマスターする。
数式のルールとはなんでしょう?
具体的に例をあげた方がわかりやすいと思いますので、ここでは指数のルールで説明していきます。
まず、指数とは何か?
1つの数がいくつかけ算されているか、その個数を指数と呼びます。
(ここが「指数」という数学用語の定義の部分にあたりますね。)
例えば、$2\times2\times2$ならば、2が3個かけ算されているので、この3を$2\times2\times2$の指数といい、
\[ 2^3=2\times2\times2 \]で表します。
いよいよここからが、数式のルールです。
一般に$m$,$n$を正の整数とするとき、次の3つの法則(ルール)が成り立つ。
1.$a^m a^n = a^{m+n}$
2.$(a^m)^n = a^{mn}$
3.$(ab)^n = a^n b^n$
この3つのルールは一般に指数法則と呼ばれています。
これが指数という数式に対するルールであり、英語でいうところの文法にあたると思って下さい。
なお、この法則は、具体的な数字を入れてあげると、ごくごく当たり前のことなので、特に覚える必要もありません。
例)
1.$a^2\times a^3 = aa\times aaa = a^5 = a^{2+3}$
2.$(a^2)^3 = a^2\times a^2\times a^2 = aa\times aa\times aa = a^6 = a^{2\times 3}$
3.$(ab)^2 = ab\times ab =a^2 b^2$
上の指数法則と呼ばれる3つの数式をただながめているだけではよく解らないと思いますが、このように具体的な数字をいれると当たり前に理解できてしまいます。
いきなり、ルール(この場合には、指数法則ですね)を覚えようとせずに、まずはその法則がどういう意味を持っているのかを具体的な数字を入れて探ってみて下さい。
決して丸暗記は禁物です。
3.公式の証明過程を理解し、実際に証明してみる。
数学記号の意味を知り、そしてその計算ルールも理解したら、公式を証明することも出来るはずです。
しかし1から自力で解けるという人はほとんどいないでしょう。なぜなら、それは過去の偉大な数学者が試行錯誤の末にたどり着いたものだからです。
だから、まずは過去の偉人たちが行った証明を眺めて見て下さい。
そして、その証明の数式を一つひとつどこでどのルールが使われているのかを把握して下さい。
公式の証明には数学のエッセンスがたくさん盛り込まれています。
そしてその公式をより深く理解するためにも、その証明の過程をじっくりと味わって下さい。
そうすることで、その公式の意味やその使い方が見えてきます。
このような行程を行わないと、まず応用問題は解けません。
いや、もう一つ応用問題を解く方法がありました。
それは問題の解法をひたすら暗記することです。
しかし、この方法には重大な欠陥があります。それは、見たこともない問題には対処出来ないことです。だから、解法暗記に頼るなら膨大な数の問題を暗記する必要があるということです。解法暗記はよく効率の良い数学の勉強方法だという人がいますが、それは全くの逆。本当はとても効率の悪い勉強法です。
4.問題を何度も解き、計算技術を磨く。
上の1~3のステップで、数式の意味とその計算ルールを理解し、覚えたら次はいよいよ実際に問題を解いて見て下さい。
理解しただけでは、まだ自分のものにはなっていません。実践して身体を動かしてみて初めて自分のものになるのです。
そして、ここで覚えておいてほしいことは数式の計算は技術であるということです。
技術は一回やったからといって、身につきはしません。
例えば、バスケットボールのドリブルを考えて見て下さい。
どうやればいいのかは、上手な人がやっているのをみれば分かると思います。しかし、実際にやってみると同じようにうまくボールをつくことが出来ません。しかも、そのボールを見ずにドリブルすることは、初心者には到底無理な注文です。
しかし、何度も何度も繰り返しドリブルの練習をすることで、いつの間にかボールなど見ずにつけるようになっていきます。
それと同様に数学の計算も繰り返し練習することで、いちいち数式のルールや公式を考えることなしに自然に計算できるようになっていきます。
そこまで出来て初めて数学が出来るようになるのです。
学校や予備校、また塾の授業で理解はしたが、実際にテストになるとできないといった人は、この計算する技術をものにしていないのです。
数学でいい点を取るためには、計算技術を磨くことです。そのためには、同じ問題を何度も反復することが重要です。
1冊の問題集を一通りやっておわり、ではなくて何度も何度もその問題集を繰り返しやり、その本で出来ない問題がないという状態になったとき、あなたの数学の成績は信じられないほど上がっていることでしょう。